6月14日(土)13時30分より,日弁連法務研究財団研修九州地区研修会が,宮崎県弁護士会と九州弁護士会連合会との共催により,宮崎県弁護士会館にて開催されました。

私は,九弁連研修委員会事務局長として,研修実施のお手伝いをすべく,参加させていただきました。

実は,昨年度も,大分県にて同様の研修会が開催されましたが,受講者から大変好評でしたので,九弁連の方から昨年度に引き続き同様の研修会の実施をお願いしました結果,宮崎県での研修会の実施が実現したというものです。
研修会当日は土曜日でしたが,休日にもかかわらず,多くの先生方に参加していただきました。
研修の内容ですが,まず日弁連法務研究財団理事長で中央大学法科大学院教授の高橋宏志先生から「一部請求判例の分析」と題してご講義をいただきました。

高橋先生からは,一部請求の類型をご解説いただいた後,代表的な4つの判例を緻密かつ詳細に分析いただき,弁護士が「判例の読み手」として「判例をどう利用するのか」という視点をご教示いただきました。
高橋先生が,「前訴で明示の一部請求が全部認容の場合(債権の特定性がない場合)における残部請求が許されるかについては,未だ判例上明らかとなっていない」と明快にご指摘された点は,正に目から鱗でした。

続いて,東京高等裁判所民事部統括判事の加藤新太郎先生から「民事弁護活動の理想と現実」と題してご講義をいただきました。
加藤先生からは,理想としての賢明な民事弁護の3要素として「よい主張,よい立証,よい和解」があり,そのポイントは,①基本を外さない執務,②裁判官の心証を意識した執務,③作法を遵守した執務であると指摘され,その3つのポイントにつき,豊富なエピソードを交えて具体的かつ説得的にお話しいただきました。

加藤先生のお話を伺いながら,これまでの自身の訴訟活動を振り返ると,まだまだ未熟な部分が多く,改善すべき点も多々あると自覚させられました。代理人の訴訟活動を見る裁判官の視点や,裁判官の心証形成を意識した主張立証活動のあり方について,率直なお話を聞くことができましたので,非常に貴重な機会であったと思っています。

研修会終了後には,高橋先生,加藤先生,日弁連法務研究財団の先生方をはじめ,研修会に参加された先生方とともに,会場近くの居酒屋にて,宮崎の地鶏料理に舌鼓を打ちました。
懇親会の場では,研修会では聞くことができなかった詳しいお話だけでなく,研修に関しない色々な話題までお話させていただくことができ,非常に盛り上がりました。
その後も,高橋先生,加藤先生,日弁連法務研究財団の先生方と,宮崎の夜の街をご一緒させていただき,楽しいひと時を過ごさせていただきました。

今回は,単に研修に参加してきただけではなく,九弁連管内の更なる研修の充実化のために,日弁連法務研究財団との連携を強化する目的で参加してきたのですが,今回の研修会の成果により,その目的は達成できたと思います。

今後,私も日弁連法務研究財団事務局員として関与させていただけることになりましたので,九弁連と日弁連法務研究財団との連携強化に一層力を入れていきたいと思います。