弁護士の佐藤です。

7月15日(金)に天神スカイホールにて,毎年恒例の日弁連夏期研修(九州地区)を開催しました。
この日弁連夏期研修は,日弁連が行う弁護士向けの研修の中で最も歴史のある研修で,1958年(昭和33年)から全国9地区にて実施している研修をいいます。
私は九州地区の夏期研修の運営責任者として,終日研修の運営に携わっておりました。

今年度のプログラムは,以下の内容にて行いました。

 

① 意見の伝え方(コミュニケーション能力養成講座)~弁護士として身に着けておくべき話し方の作法~
講師:葉山さつき氏(福岡アナウンススクール講師,ラジオパーソナリティー),橋詰京美氏(㈱ailes代表取締役,ラジオパーソナリティー)

この研修では,弁護士としての基礎的素養を向上させることを目的とし,意見を相手に伝えるという口頭でのコミュニケーション能力の点に焦点を当て,音声や話し方といった観点から,どのような音声でどのように話をすれば,より意見を相手に伝えやすくなるのか等を中心とした実践的な研修内容でした。

特に,声から受ける印象,TPOにより必要な声は違うこと,話し方・声の出し方により相手が受ける印象が全く違うこと,相手の思考パターンに応じて話し方・説明の仕方を変えることで,より良いコミュニケーションが図ることができること等,今までない発見がいくつもあった素晴らしい内容でした。
② 倫理研修
講師:民事 川﨑尊義弁護士,向原栄大朗弁護士,刑事 徳永響弁護士,石井忠祐弁護士(いずれも福岡県弁護士会)

民事については,弁護士の業務広告と非弁をテーマとして,事例問題の検討を通じて,弁護士の業務広告に関する規程等の解説や非弁提携とならないための注意点等について,ご議論いただきました。

刑事については,刑事弁護における受任と利益相反をテーマとして,弁護士費用の負担者と守秘義務の関係,潜在的な利益相反の可能性がある場合の対応等について,事例問題の検討等を交えながらご議論いただきました。

私は民事のコーディネーターを務めましたが,比較的最近問題となる例が出てきた広告業者と非弁提携の問題について,パネリストの先生方より分かり易い解説と問題提起をいただいたと思います。

 

③ 法人破産における申立代理人の役割と業務の進め方~中小企業を中心として~
講師:野村剛司弁護士(大阪弁護士会),黒木和彰弁護士(福岡県弁護士会),北古賀康博弁護士(福岡県弁護士会)

法人破産の中でも,今まであまりスポットが当てられていなかった申立代理業務のあり方について,具体的事例を想定し,各場面で直面する問題について,ご議論いただきました。

法人破産において破産申立てまでに行うべきことは非常にたくさんありますが,何をどこまでおこなうべきなのか,あるいは行ってはいけないのか,実践における様々な問題点,注意点,落とし穴等について,非常に充実した議論をしていただきました。
研修終了後は,講師の先生方を含めて懇親会を行い,講義だけでは聞けなかった様々なお話を伺うことができ,非常に有意義な時間を過ごしました。

研修会自体は非常に素晴らしい内容でしたし,運営も何とか上手くいったのですが,せっかく素晴らしい内容でしたので,もう少し多くの弁護士に参加してもらえれば良かったというのが率直なところです。

今後も弁護士の綱紀確立,倫理保持,業務知識の向上等のため,より良い弁護士向け研修の企画立案,運営等に尽力していきたいと思います。