訪問販売などの消費者被害とクーリングオフ
全国の消費生活センターへ寄せられた相談件数は,平成25年度から増加に転じ,近年は65歳以上の高齢者の方からの相談件数が増加し続けています。高齢者の人口の伸び率に比しても,高齢者の相談件数の伸び率は大きく,今後も高齢者の消費者トラブルが増加する傾向は続くものと考えられます。
このような高齢者によく見られる消費者被害の例として,「訪問販売」があげられます。
訪問販売
訪問販売とは,販売業者が購入者の住居を訪問するなどして商品を販売することをいいます。
自宅にやってきた業者から高額な布団や着物などを強引に売りつけられる例,「○○役所の方から来ました」といった言い方で身分を勘違いさせて,浄水器や水道管工事,消火器,警報機などの契約をさせようとする例,「今リフォームをしないと地震の時に瓦が落ちてくる」などと脅かされてリフォーム工事の契約をさせようとする例など様々なものがあります。
不要なものであれば,すぐに断って業者に帰ってもらえば良いのですが,高齢者の方の場合,「しつこく強引な勧誘」「情に訴える等人の優しさを逆手に取るような勧誘」「恐怖や不安を煽るような勧誘」をされた時に,なかなか断ることができないケースが多いようです。
訪問販売への対処法
最も有効なのは,いわゆるクーリングオフです(特定商取引法9条等)。
クーリングオフとは,訪問販売等でした契約を無条件で解消できる制度です。
このクーリングオフを行使できる期間は,業者に消費者に対して交付するよう定めている「法定書面」を受領した日から8日間です。
もっとも,法定書面が交付されなかった場合や法定書面の記載事項に不備がある場合には,8日間経過した後でもクーリングオフを行使できます。
また,業者から「これはクーリングオフできない取引だ」などとウソを言われてクーリングオフができなかった場合(クーリングオフ妨害)には,業者から改めてクーリングオフできる旨を記載した書面を渡され,かつ口頭でもクーリングオフができると告げられてから8日間はクーリングオフを行使できます。
クーリングオフの方法
クーリングオフは,必ず書面で通知して証拠を残すようにしましょう。
書面は「はがき」で構いませんが,証拠を残すために特定記録郵便または簡易書留で送付します。
記載したはがきは,郵送する前に必ず両面(表と裏)のコピーを取り,郵便局の窓口で渡される特定記録郵便または簡易書留受領証と一緒に大切に保管しましょう。
① クーリングオフ通知の記載例(クレジット契約をしていない場合)
② クーリングオフ通知の記載例(クレジット契約をしていない場合)
※ クレジット契約をしている場合は,販売会社とクレジット会社の両方へ同時に通知します。
既にお金を支払ってしまった場合
既にお金を支払っていても,クーリングオフをした場合は,業者は速やかに返金しなければなりません。
しかし,現実にはなかなか返金されないといったケースもあり,そのような場合には,業者に対して督促をし,それでも返金されない場合には訴訟等の法的手段が必要になってきます。
消費者被害でお困りの方へ
当事務所の代表弁護士は,弁護士会の消費者委員会や適格消費者団体に所属し,多くの消費者問題に取り組んできた実績があります。
泣き寝入りをする前に,一度相談してみることをお勧めいたします。