使用者は,従業員に,時間外労働または深夜労働をさせた場合には,通常の賃金の25%以上の割増賃金を,休日労働をさせた場合には,通常の賃金の35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。また,時間外労働の時間が1か月60時間を超えた場合には,原則として,その超えた時間の労働に対して,通常の賃金の50%以上の割増賃金(深夜労働と重なる場合には75%以上)を支払わなければなりません(但し,例外あり)。
深夜労働にも当たる場合 | ||
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時間外労働(法定労働時間を超える部分) | 25%以上 | 50%以上 |
時間外労働(月60時間を超える部分) | 50%以上 | 75%以上 |
休日労働 | 35%以上 | 60%以上 |
深夜労働 | 25%以上 |
また,使用者は,事業場毎に,過半数労働組合または従業員の過半数代表者との間で,時間外労働等に関する協定(いわゆる「36協定」)を締結し,行政官庁に届け出なければ,従業員に時間外労働等をさせることはできません。
特に中小企業においては,36協定を締結しないで時間外労働をさせていたり,事業場単位で36協定を締結していないケースも少なくありませんが,いずれも労働基準法違反となります。
以上の違反行為は,いずれも労基署による是正勧告の対象となるほか,6か月以下の懲役または30万円以下の罰金といった刑事罰の対象となります。