口頭による請求,請求書,内容証明郵便の送付
取引先が支払いを遅延した場合には,口頭あるいは請求書の送付により,支払いを督促します。それでも効果がない場合には,内容証明郵便にて請求書を送付します。
内容証明郵便は,その記載内容や差出日(配達証明を付ければ配達日も)を郵便事業株式会社が証明してくれるものですから,「請求書は受け取っていない」というような取引先の言い逃れを防ぐことができます。
支払約束の文書化
取引先から支払約束を取り付けた場合には,約束を確実なものとするために,債務弁済契約といった契約書として文書化すべきです。
また,複数の再建の支払いが滞っている場合には,それらを1つにまとめて準消費貸借契約にすべきでしょう。準消費貸借契約を締結するメリットとして,消滅時効の期間を延長させるとともに,消滅時効期間の起算点を同一にして,時効の管理を容易にする点が挙げられます。
取引先の手持資金以外の財産からの回収
取引先に売掛金以外に買掛金もある場合には,この売掛金と買掛金を相殺してしまうのが,最も効果的です。相殺すれば,売掛金を回収した金銭で買掛金を支払ったのと同様の効果を得ることができますから,簡便で確実な方法であるといえます。
また,取引先が第三者に売掛債権を持っている場合には,その債権の譲渡を受けて,その第三者から支払いを受ける方法も考えられます。
取引先が価値のある在庫商品を持っている場合には,代物弁済としてその商品を支払いの代わりに受け取ることも検討に値します。
支払約束を確実なものとする
支払約束を契約書の形で文書化したとしても,取引先が契約どおりに支払わない可能性もあります。
そのような契約違反の場合に備えて,公正証書を活用する方法があります。
通常,契約違反があった取引先に強制的に支払わせるためには,訴訟を提起して勝訴判決を得た上で,強制執行の手続を取る必要があります。
もっとも,支払約束を契約書の形にする際,その内容を公正証書にし,その中に「契約違反の場合には,直ちに強制執行を受けても構わない」旨の文言(強制執行受諾文言といいます。)を入れておくと,万一取引先に契約違反があった場合に,訴訟手続を取らずに,直ちに強制執行ができるというメリットがあります。