契約によって設定する担保権
取引先が約束どおりに支払わない場合に備えて,取引先が所有する不動産に抵当権や根抵当権といった担保権を設定しておき,万一支払いがない場合に,裁判所に対して不動産を強制競売するよう申立て,競売代金の中から債権を回収する方法が考えられます。
また,取引先の所有する不動産や動産,債権に質権を設定したり,取引先の機械や在庫商品に譲渡担保という一種の担保権を設定したりして,取引先が支払いをしない場合に他の債権者に先立って回収する方法もあります。
そして,取引先との契約時に,(連帯)保証人を付けておき,万一の時に(連帯)保証人から支払いを受ける方法もあります。
法律上当然に発生する担保権
動産を売買して目的物を引き渡したのに,売買代金を支払ってもらえない場合に,法律上,その動産に対して売買代金先取特権という権利が当然に発生することとされています。具体的には,動産が取引先のもとにある場合には,その動産の競売申立てを行い,競売代金の中から支払い受ける。動産が転売され,転売代金が取引先に支払われていない場合には,その転売代金債権を差押え,転売先より代金の支払いを受けるという方法です。
また,例えば取引先の自動車の修理をしたときに,その修理代を取引先が支払わない場合には,修理代の支払いを受けるまで,その自動車の返還を拒むことができますので(留置権といいます),間接的に支払いを強制する効果があります。