セクハラやパワハラのご相談
セクハラ
セクシャル・ハラスメントとは,相手の意に反する性的な言動をいいます。
ここでいう「性的な言動」とは,性的な内容の発言及び行動をいいますが,具体的には以下のものが当てはまります。
・性的な冗談や質問
性的な経験・性生活について話題にする。下着のサイズや色を尋ねる。
・相手が望まないのに体に触れる
・不快な環境で居心地を悪くする
ヌード写真やわいせつな絵などを貼るなどして女性にとって不快な環境を作る。
・のぞき見や盗撮
更衣室などをのぞき見,カメラなどで盗撮する。
・プライバシーに過度に立ち入る
「恋人はいるの?」「性的経験は?」「子どもはまだ?」などと個人的な質問や性的な質問をくり返すなど、プライバシーに立ち入り過ぎる。
・しつこく交際を迫る
電話,手紙,待ちぶせなどで,相手が望まないのにしつこく交際を迫る。
・性的関係を強要する
抱きつく,キスする,手を握るなど性的な関係を強要する。
相手が望まないのにデートやホテルに誘うなど性的な関係を迫る。
・宴会などでお酌を強要する
宴会や社員旅行でも,職場の延長とみなされる場合は、カラオケなどでデュエットを強要したり、お酌やダンスを強要することは該当する。
・性的な内容の噂を流す
「○○とできている」「性的にふしだらだ」などの噂を職場や取引先に流し、業務を妨げ、不快な環境を作る。
セクハラをめぐる法律上の問題
まず,上司や同僚によるセクハラ行為があった場合,その行為者に対して不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)が問題になります。
このうち,最も問題となるのが,「違法性の有無」です。
これについては,行為の目的・態様・程度(反復・継続性を含む),行為の行われた時間・場所,行為者と従業員の年齢と職務上の地位・関係,両者のそれまでの関係,当該従業員の不快感の程度及び対応等を総合的に見て,それが社会的見地から不相当とされる程度のものである場合には,違法となると考えられています。
また,セクハラをした行為者個人に不法行為責任が認められる場合,その使用者である会社に対する損害賠償請求が認められるケースもあります(民法715条,同415条)。
パワハラ
職場のパワーハラスメントとは,同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優越性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
このパワハラには,以下のものが該当するものとされています。
・暴行・傷害(身体的な攻撃)
・脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
・隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
・業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制,仕事の妨害(過大な要求)
・業務上の合理性がなく,能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
・私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
パワハラをめぐる法律上の問題
セクハラの場合と同様,行為者個人に対する損害賠償請求(民法709条),当該行為者の使用者である会社に対する損害賠償請求(民法715条,同415条)が問題となります。
もっとも,パワハラに対する違法性が認められるためには,明確な権利・利益の侵害があるか,その態様が社会的許容性を超えるほど重大・悪質なものであることが要求されています。
そのため,いかに耐え難いいじめ・パワハラだと感じていたとしても,客観的にはそれほど悪質には見えない侮辱的な言動や態度,短時間仕事を外された程度のことである場合には,違法性が認められるのは難しいことが多いので,注意が必要です。